業務概要

(1)   画像診断             :一般X線撮影、乳房撮影、骨密度測定、X線CT検査、MRI検査、

                                  心臓・血管造影検査、各種造影透視検査、病棟撮影、手術室撮影

(2)   画像支援治療(IVR):肝動脈化学塞栓療法、リザーバ留置 、ERCP、PTCD等

(3)   放射線治療           :各種悪性腫瘍に対する放射線治療(外照射)

診療放射線技師構成

副技師長:1名    技師:4名

特徴

 別府病院は、従来の温泉立地を利用したリウマチ・膠原病などの難病疾患治療や、心臓疾病・各種癌疾患・消化器疾患・整形外科疾患などの高度な診断 により、QOLを考慮した手術などを行っているところが特徴です。診療放射線室スタッフは、各診療科医師と一体となって先進的集学診療をサポートして行くとともに、“患者さんにやさしい医療“を心掛けています。

 5名の診療放射線技師が、院内9か所の撮影室および治療室・合計12台の装置により、質の高い放射線診療を提供できるよう努力しています。九大本院からのバックアップ体制のもと、個々の可能性を限りなく広げられる職場を目指しています。

(1)  画像診断

1)  一般撮影室では、胸部・腹部・全身の骨単純X線撮影を行います。検査目的はスクリ-ニングや経過観察(臓器異常、骨折の有無、リウマチ患者等の   関節異常など)が主ですが、脊椎の動態検査、計測等の評価にも用いられています。

    胸部X線写真        腰椎X線写真

2) 乳房撮影室では、最新機能であるトモシンセシスを備えたデジタルマンモグラフィ撮影を行います。

3) 骨密度測定室では、腰椎や大腿骨頸部の骨密度測定を行います。骨粗鬆症の発見や予防、経過観察のために測定を行っています。

 解析画像(腰椎と大腿骨)

4) 病棟撮影・手術室X線撮影は、専用の移動型ポータブル撮影装置(2台)および移動型Cアーム透視撮影装置(手術室1台)で行います。特に手術室の、無線型FPD仕様に更新された移動型ポータブル撮影装置は、撮影直後にその場で画像観察が可能であり、手術中の先生方には大変好評です。

5) CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)検査は、320列マルチスライスCT装置が用いられています。これにより、頭頚部、四肢、胸部(心臓、肺・気管支、縦隔部、乳腺など)、腹部(肝臓・胆嚢・膵臓、腎臓など)の各臓器・軟部組織・骨組織の連続した画像データを得ることができます。また造影剤を使用することで病変部を明瞭に検出することができます。通常の横断像の他にも矢状断や冠状断などMPR画像が作成可能です。さらに、三次元画像処理が可能な専用コンピュータにより、手術支援として立体的観察ができるような画像描出もできます。

 造影剤を使用した下肢血管の3D画像

6) MR(Magnetic Resonance)検査は磁気共鳴現象を利用して人体の断層像を得る検査です。特に脳・脊髄系の疾患に有用です。また、造影剤を使用せずに血管の撮像ができます。放射線を使用しないので、被ばくが無いという利点がありますが、強力な磁場を使用するため、体内に金属がある方はMR検査ができない場合があります。当院では、乳腺疾患、肝胆膵疾患、リウマチ疾患等の患者さんや、頚椎症・腰痛など脊髄の整形外科患者さんが比較的多く来られます。

   腰椎MR        頭部MRA(血管)       MRCP(MR胆管膵管画像)

(2)   画像支援治療(IVR:Interventional Radiology)

1) 心血管造影検査室では、腹部血管造影検査心臓カテーテル検査が行われています。腹部血管造影検査は、カテーテルを経皮的に血管内に挿入し、 目的とする血管に造影剤を注入することで、腫瘍などの病変の画像診断を行います。腫瘍への治療薬物注入や、腫瘍を栄養している動脈の塞栓術、深部血管からの出血に対する動脈塞栓術などが行われています。塞栓療法、動注療法、リザーバ留置など、高度な診断と治療を兼ね備えたIVRを行っています。

また、心臓カテーテル検査は、カテーテルを経皮的に血管内に挿入し、心内血圧測定や酸素飽和度の測定、心拍出量の測定により心疾患の診断や心機能解析を行います。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患患者に対しては、冠状動脈造影検査(CAG:Coronary Angiography)を行い、治療が必要な場合はさらに経皮的冠動脈形成術(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)を行っています。

その他、整形外科疾患ではCアームを回転させて的確に位置合わせが可能であることから神経根ブロックにも利用されています。

腹部血管造影               冠動脈造影

2) 透視撮影室では、各種消化管造影検査による消化管疾患の精査をはじめ、病態把握や治療方針決定に役立てられます。経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD;Percutaneous Transhepatic Cholangio-Drainage)や、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP;Endoscopic Retrograde Cholangio Pancreatography)、透視下内視鏡検査、ミエログラフィ(脊髄腔造影検査)、神経根ブロックなども行われています。

 

ERCP               神経根ブロック         脊髄腔造影検査

(3)  放射線治療

 各種悪性腫瘍に対する放射線治療(Radiation Therapy)が行われています。放射線治療は、放射線の電離作用を利用して悪性腫瘍を制御することを目標としています。

 近年の放射線治療はCT画像をもとに治療計画が行われ、治療精度が飛躍的に向上しています。当院ではリニアック治療装置による一般的な外照射治療の他、定位放射線治療、強度変調放射線治療が行われています。

 体幹部定位放射線治療(SBRT;Stereotactic Body Radiotherapy)とは、がんに対して極小照射野で病変部の線量を集中させ、周囲の正常組織には少ない線量に抑えることができる放射線治療です。

 強度変調放射線治療(IMRT;Intensity Modulated Radiotherapy)とは照射面積内の放射線強度を変更しながら多方向から照射することにより、  正常組織には少ない放射線線量を、病変部には多くの放射線線量を照射できる方法です。当院では主に前立腺がんに対するIMRTを行っています。